日本でも “イタリアのパスタ料理” と言うと このラグーソースのパスタを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
ラグーソースについて、本場イタリアより解説したいと思います。
ラグーソースとは?
イタリア家庭料理の代表格ともいえるのがラグーソース。ラグー(ragù)とは“肉や野菜などを小さく切って煮込んだ料理”、という意味のフランス語 (ragoût) 由来の言葉。牛肉とパンチェッタ(イタリアの豚バラやベーコン)やサルシッチャと呼ばれるイタリアのソーセージなどを煮込んだソースのことで、イタリアでは地域によって、また家庭によって様々なタイプのラグーがあります。
イタリアの家庭でのラグーソースの存在とは?
余談ですが、ラグーソースのパスタと言えばイタリアでは典型的なドメニカ・プランツォ(domenica pranzo / 日曜の昼食)のメニュー。
イタリアでドメニカ・プランツォとは文字通りの “日曜のランチ” と言う意味以上に “家族みんなでとる大事な食事” という意味も含まれるんです。
イタリアでは伝統的にはディナーよりも昼食の方が重要度が高く、そのためかどうかイタリアの会社は交通費は出なくても昼食代は支給される会社も多いんですよ。
じっくりと丁寧につくるラグーソースはそんな家族みんなで囲むテーブルにピッタリなメニューなのでしょうね。
ラグーとボロネーゼの違いは?
日本でラグーソースというと “ボロネーゼ” というイメージが強いですが、ボロネーゼ(bolognese)とはイタリア語で “ボローニャ風” という意味。
つまり、北イタリアのボローニャ周辺のラグーソースのことで大抵は牛ひき肉と豚肉(サルシッチャや豚バラ)をブイヨンや少しのトマトと合わせて長時間煮込む作り方。
ボロネーゼはラグーの中でも 肉が前面に出てくるタイプのソース です。やはり伝統的な北イタリアの料理ではトマトの存在感は控えめです。
トスカーナ風ラグーとは?
対してトスカーナ風(中部イタリア風)はボロネーゼよりもトマトピューレを多く使い、トマトの存在が際立ちます。
ラグーソースの中でも、肉とトマトの両方の旨みをバランスよく使うタイプのラグーソースと言えるでしょう。
とは言ってもイタリアのラグーソースは家庭によってレシピは様々。家庭ごとに伝統のレシピ、マンマの味があり、こうして地域によって分けるのは本当はなかなか難しい、奥の深い料理です。
タリアテッレ- ラグーの定番パスタ
そしてラグーソースに合わせる定番のパスタは平打ちのタリアテッレ。
タリアテッレに使う粉は、グルテンの含有量が少ない 軟質小麦の小麦粉 が伝統的なレシピ。
ただこの軟質小麦の粉が、日本の薄力粉にあたるかと言えば 厳密な意味では少し違うんです。イタリアの一般的な軟質小麦の粉は、日本では 中力粉 に相当します。
日本とイタリアでは小麦の分類方法が違うので、ここでは薄力粉と強力粉を半分づつの量でのレシピにしました。
薄力粉が多ければ歯切れのよいパスタ、強力粉が多ければもっちりとしたパスタになるので、どうぞお好みの配合を見つけてみて下さい。
手打ちパスタの作り方のページでは基本的な作り方や粉についてさらに詳しく書いています。ホームメイドならではの美味しいパスタ、一度挑戦してみるのもおすすめです。手打ちパスタって実はとっても簡単なんですよ!
美味しいラグーを作るコツ
ラグーの中でもトマトを多く使うこのトスカーナ風はトマト、トマトピューレの美味しさが味を左右します。夏場なら完熟トマト、それ以外の季節ならぜひ質のよいトマトピューレ、トマト缶を使って下さい。中部や南イタリアの家庭では、、夏場に年間分のトマトピューレを手作りする家庭も多いんですよ。
そしてラグーソースの黄金のルールとも言えるのが
“弱火でコトコトじっくりと”。
強火で急いで作っては美味しいラグーソースは出来ません。じっくりと時間をかけて煮込むことでソースに深みと丸みが出てきます。煮込んでいく間に変化していくソースの味もどうぞ感じてみてください。
そして最後にもう一つ、ラグー作りにおいて一番重要なこと。
それは、、、
「アモーレをたっぷり注ぐこと。」
“アモーレ” の意味はもう書かなくてもわかりますよね?
ラグーを作るとき、ぜひ食べてくれる人の笑顔を思い浮かべながら「美味しくなぁれ!」と唱えながら作ってみてください。
きっと世界で一番美味しいラグーが出来上がりますよ!
ラグーソースのタリアテッレの作り方
材料 (4人分)
ラグーソース
- 牛挽肉 300g
- サルシッチャ(無ければ豚ひき肉) 150g
- トマトピューレ 800㎖ (ピューレの濃さによって量は調整して下さい。トマト缶を使う場合は2缶分をブレンダーでピューレ状にするといいです)
- 赤ワイン 100㎖
- 玉ねぎ ½個 (小さ目なら1個)
- セロリ 1本
- 人参 1本
- ニンニク 1片
- ローズマリー 少々
- ローリエ 3枚ほど
- EVオリーブオイル 適量
- 塩 少々
タリアテッレ
- 強力粉 150g
- 薄力粉 150g
- 卵 3個
- EVオリーブオイル 少々
- 塩 少々
作り方
ラグーソース
1) 人参、玉ねぎ、セロリ、ニンニクは合わせてみじん切りにする。ローズマリーの葉も合わせておく。
2) フライパンにオリーブオイルをひき、みじん切りにした野菜を弱火でじっくりと玉ねぎに透明感が出るまで炒める。※こうして香味野菜を炒めたものをイタリア語でソッフリットと言います。野菜のうまみをじっくり引き出す気持ちで炒めて下さい。
3) 火加減を強めて牛挽肉とサルシッチャの皮を取り除き、細かくちぎったもの(もしくは豚ひき肉)をフライパンに加えて軽く炒める。
4) 赤ワインを加え、アルコールを飛ばすように強火で炒める。
5)トマトピューレ、ローリエの葉、塩を加えて弱火にし1時間半ほどたまにかき混ぜながらじっくりと煮る。濃厚なタイプのトマトピューレを使う場合は煮込むうちに焦げ付きやすいですので水を少し加えてください。※ラグーソース作りに焦りは禁物。弱火でコトコト、愛情込めて、が美味しいラグーソースを作る秘訣ですよ!
6)茹でたパスタとソースをよく混ぜて出来上がり!(手打ちパスタに挑戦してみたい方は下に作り方を載せています) ※イタリアではパスタだけを先にお皿に入れてからソースを上からかけるという事はあまりしません。パスタとラグーソースをあらかじめよく混ぜてからお皿に盛ることでより美味しくなりますよ!
タリアテッレ
1)ボウルに小麦粉、卵、塩を入れてフォークで卵をほぐしながら粉と混ぜ合わせる。ぽろぽろとした生地になったら手である程度まとまるまで軽く捏ねる。
2) 生地を作業台に移して滑らかになるまで力強く捏ねる。※生地は少し固めかな、くらいです。生地を休めた後はよく伸びますので水は最初は加えないで捏ねてみて下さい。どうしてもパサパサで捏ねにくければ様子を見ながら水を加えて下さい。
3) 生地を丸くまとめて固く絞った濡れ布巾をボウルに被せ、1時間ほど休ませる。
4)麺棒で0.6-1.0㎜程度の厚さになるまで生地を何度か裏返しながら伸ばしていく。小麦粉300gの分量なら初めに生地を2等分にカットしてから伸ばしてもやりやすいです。小麦粉150gの生地で厚さ0.7㎜まで伸ばした場合、直径40-50㎝ほどになります。※生地を裏返す度にくっつかないようにに打ち粉をする。
5)薄く伸ばした生地をくるくると丸めて棒状にし、1㎝弱幅で包丁等で切っていく。グッと押し切るようにするときれいに切れます。
6)切り分けたパスタは打ち粉をまぶしてひっつかないようにしておく。
7)沸騰した湯に塩を0.8-1%ほど加えてパスタを茹でる。生パスタの場合は1-2分で茹で上がります。
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パスタの本場、イタリア。
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