ハンガリーのグヤーシュと聞いて、牛肉のシチューを思い浮かべる人は多いかもしれないですね。
実際に世界中で一般的にグヤーシュとして知られるのはパプリカパウダーの入った牛肉のシチュー。
ところがハンガリー国内ではそのようなシチューはペルケルトと呼ばれ、本当のハンガリーグヤーシュとは別物ということを知っている人は実は多くはありません。
では本場ハンガリーのグヤーシュとは一体どんな料理なのか?
次から詳しく解説していきますね。
本当のグヤーシュ・レーベスとは?
本当のハンガリーのグヤーシュとは肉と野菜のスープのこと。ハンガリーではグヤーシュ・レーベス(gulyàs leves)と呼ばれます。グヤーシュとはハンガリーのカウボーイ、養牧者のこと。レーベスとはスープのこと。つまり、グヤーシュ・レーベスとは『カウボーイのスープ』という意味なんですよ。
ハンガリーではボグラッチュ(bogràcs)と呼ばれる大鍋で野外で豪快に作るのが伝統。今でもハンガリーではみんなが集まるときにボグラッチュでグヤーシュを作って楽しんだりするんですよ。
グヤーシュに欠かせない材料とは?
グヤーシュの主な材料は牛肉、そしてパプリカ。ハンガリー料理ではこのパプリカが欠かせません。パプリカ以外ではその時々に手に入る野菜を入れますが、よく見るのは根パセリ(ルートパセリ)、セロリアック、コールラビと呼ばれるちょっと日本では見かけない野菜が入っているのが特徴。これらの野菜があのハンガリーグヤーシュの香りを作り出しているんですね。
このレシピは私達一家がいつもお世話になっているハンガリー人のお母さんから直々に教えてもらったレシピで、日本向けアレンジは一切していません。
こういった食材を日本でそろえるのはなかなか難しいと思うけれど、これらの食材があのスープの味を作り出しているんですよ。
ノケドリ グヤーシュに加えるニョッキ
そしてこのグヤーシュによく加えられるのはノケドリ(nokedli)と呼ばれる小麦粉で作ったニョッキ。
これは最初に書いた牛肉のシチュー、ペルケルトに合わせるのも定番でハンガリー料理ではお馴染みの食べ物です。下のレシピのように手でちぎりながら作ったり、大根おろし器のような道具に卵と水で溶いた小麦粉を入れてスープに落としながら作るんですよ。
グヤーシュの作り方
材料 (4人分)
スープ用
- 牛肉(肩肉、筋や筋肉質の部位がよい味がでます) 500g
- 玉ねぎ 大1個
- 根パセリ(ルートパセリ) 2本
- 人参 2本
- 根セロリ 1個
- じゃがいも 2個
- 緑パプリカ 1個
- トマト 1個 or トマトピューレ 大さじ3ほど
- にんにく 1片
- スイートパプリカパウダー 大さじ1.5
- ローリエの葉 2-3枚
- クミンシード 大さじ1
- サラダ油 適量
- 塩 適量
ノケドリ用
- 卵 1個
- 薄力粉 100gほど
- 塩 一つまみ
- 水
作り方
1)牛肉は2㎝程度に切る。
2)大きめのみじん切りにした玉ねぎをサラダ油を入れた鍋で透明になるまで炒める。
3)パプリカパウダーとクミンシードを加えてさらに炒める。
4)牛肉を加えて炒める。この時に肉に焦げ目が付く様に強火で炒めて下さい。
5)パプリカは縦半分に切ってわたと種をとって鍋に加える。ローリエの葉、トマトピューレ、つぶしたニンニク、塩少々も加える。少しずつ水を加えて1時間~1時間半ほど煮る。
6)肉が柔らかくなったら輪切りにした人参、ひと口大に切った根セロリ、根パセリ、セロリアックを加える。
7)水をさらに1.3ℓほど加えて30分ほど煮てからひと口大に切ったジャガイモを加え、柔らかくなるまで煮る。
8)最後にノケドリを加える。
9)ノケドリが浮かんできたら出来上がり。
仕上げにグヤーシュ・ペーストと呼ばれるパプリカとラード等を練ったものを加えると鮮やかな色と香りが出ます。
ノケドリ
(1)ボウルに卵を割り入れて塩一つまみも加えてよく混ぜる。
(2)薄力粉を少しずつ加えてフォーク等で混ぜる。
(3)ある程度まとまってきたら軽く手でこねてまとめる。
(4)1㎝弱の大きさに手でちぎる。あまりきちんと成型せず、まばらな感じのままでいいです。
ドナウの真珠と呼ばれる美しい街、ハンガリーのブダペストは旅行記ブダペスト-美しき街と素朴な料理に書いています。
“ブダペストの台所” である中央市場の様子や素晴らしい夜景の絶景フォトも載せていますよ!