【徹底解説!これが 本場の作り方】 基本のじゃがいものニョッキ 

gnocchi じゃがいものニョッキのレシピ・作り方

イタリア料理においてパスタに次いで重要な存在、ニョッキ

いろいろな種類のニョッキがイタリアにはあるけれど やはり一番スタンダードなのがこのじゃがいものニョッキ

これはイタリアのマンマから教えてもらった、正真正銘の本場のニョッキの作り方です。

ここではニョッキに使うジャガイモや小麦粉の説明、一番基本の作り方、ニョッキが崩れる原因と対策、余ったニョッキの保存方法 について説明していきます。

ジャガイモのニョッキを美味しく作るコツ

ニョッキに使うジャガイモは?

ジャガイモのニョッキに使う材料はとてもシンプル、じゃがいもと小麦粉の二つだけ。

まず、じゃがいもは新じゃがではない方がいいです。

なぜかとういうと 新じゃがは水分量が多いので生地がまとまりにくく、茹でている間にニョッキが崩れてしまう可能性があるから。もし 新じゃがを使う場合はジャガイモ1㎏に対して卵1個 を加えるといいです。またじゃがいもの品種はほくほくした男爵のようなものがお勧め。

ニョッキを美味しく作るキーポイントは『水分量』

なるべく水分量が少ないジャガイモを使用するのが理想です。水分が多いと加える小麦粉が多くなって食感が重くなったり、また茹でる時に崩れる原因となります。

小麦粉は薄力粉?それとも強力粉? イタリアではどんな小麦粉を使うの?

マンマが使っていた小麦粉はイタリアの軟質小麦(薄力粉に使われる小麦で日本の中力粉にあたります)のtipo 0(ティーポ ゼロ)という精製度が上から2番目のタイプ。

イタリアの小麦粉は日本のようにグルテン含有量での分類ではなく 精製度によって分類されるのですが、ニョッキに使われるのは精製度の高い小麦粉(胚芽やふすまなどが含まれないより白く細かな小麦粉)が一般的です。

ただしどの小麦粉を使うかはイタリアでも家庭によって様々。軟質小麦の小麦粉ではなくパスタに使われるデュラム小麦を使う人もいるし、全粒粉を使えばより素朴な味わいになります。

セモリナ粉
(左) デュラム小麦のセモリナ粉 (右) 軟質小麦の小麦粉(日本の中力粉に相当する)

日本の小麦粉で作る場合は?

日本の小麦粉ならグルテン含有量の少ない薄力粉が多ければ柔らかな食感、強力粉を使えばもっちり感が増します生地のまとまり易さともちもち感では強力粉、ふんわりとした食感重視なら薄力粉に軍配が上がるでしょう。ただし薄力粉は強力粉に比べて一般的に吸水率が悪く、生地がべたつくので粉の量が増える傾向があります。(じゃがいも1-2個などの少量で作る場合はさほど差を感じないかもしれませんが、量が増えると粉の性質の差は顕著に表れます)

イタリアの小麦粉に近づけるには中力粉を使うか 強力粉と薄力粉を半分ずつにするとよいでしょう。

ニョッキにどの小麦粉を使うかに “唯一の正解” はありません。ニョッキはイタリアの “家庭料理” です。家庭料理なのでまずは難しく考えすぎずに『楽しんで作る』のが一番大事!ということを忘れずに、手元にある粉で気軽に作ってみて下さいね!

手打ちパスタ pasta fatta in casa
イタリアの小麦粉については基本の手打ちパスタの作り方のページでさらに詳しく書いています。興味のある方はどうぞ!

ジャガイモと小麦粉の分量のバランスは?

小麦粉の分量はジャガイモの水分量に応じてその量を調整しますが、ジャガイモ1㎏に対して250~300g(ジャガイモの25~30%程度)が目安 加える小麦粉は出来るだけ少ないほうが ふんわり柔らかな食感になります。  あまり小麦粉を加え過ぎると じゃがいものニョッキ というよりも、モチモチした重たい食感で “すいとん” のようになってしまいます。かと言って少なすぎると茹でる時にニョッキが崩れてしまいます。生地が耳たぶ程度の柔らかさでべたつかない量を加えて下さい。

イタリアのニョッキは『モチモチ』というよりも、『引き締まっているけどふんわり軽い』食感です。

小麦粉を加えるタイミングは?

ポイントとしてはジャガイモを茹でた後、熱々のうちにマッシュすること。そしてその後粗熱を取り、蒸気を逃してから小麦粉を加えて混ぜ合わせていきます。なぜなら熱々のままだと小麦粉を吸収しすぎてしまうのでこうして蒸気を逃し、軽く冷ましてから加えるのが結構重要なんです。

ニョッキが崩れる原因と対策

ニョッキを作ったことがある方ならおそらく経験があるでしょう、『茹でる時にニョッキが崩れてしまう』事態。いくつかの原因があげられるのですが、一つずつ説明していきます。

ジャガイモの水分量が多い

上でジャガイモは『新じゃがではない方がいい』と書きましたが、水分量が多い新じゃがだと崩れる原因となります。ジャガイモはなるべく水分量の少ない古いものかホクホクしタイプを選びましょう。そして茹でる時も皮つきのままで。少量なら電子レンジでジャガイモを加熱するのも水分量を抑えられて手軽でいいですね。

 

じゃがいものマッシュが粗い

じゃがいもをつぶす時はマッシャーがおすすめ。無い場合はフォークでもいいですがフォークだと塊が残りやすいので丁寧に潰して下さい。塊が残っているとその分 “つなぎ” となる小麦粉とうまく混ざりません。つなぎのないジャガイモは崩れてしまいます。

 

小麦粉が少なすぎる

小麦粉は出来るだけ少ないほうがふんわりとした食感になりますが、少なすぎても崩れる原因となります。『生地がべたつかずに成型できる程度のやわらかさ、耳たぶ程度の柔らかさ』になるまで加えましょう。

 

小麦粉とじゃがいもがきちんと混ざっていない

マッシュしたジャガイモと小麦粉は捏ねすぎると食感が重くなるので手早く混ぜるのが美味しいニョッキを作るポイント。ですが食感が悪くなるのを恐れて小麦粉とジャガイモをきちんと混ぜないと茹でる時にニョッキが崩壊してしまいます。パンのように捏ねる必要はありませんが、ある程度は『生地をまとめる感じで手早く捏ねるように混ぜる』必要はあります。

手早く、かつ生地が成型でき固さになるまではきちんと混ぜて下さい。

 

茹で方

ニョッキはたっぷりの湯で茹でて下さい。1kg のニョッキなら4-5ℓ以上は必要です。大きな鍋が無い場合はニョッキを数回に分けて茹でましょう。湯量が少ないとニョッキ同士がくっつきやすく、『それを切り離そうとしてかき混ぜてしまう→ニョッキがぐちゃぐちゃと崩れてしまう』というのは実は結構みんなやってしまいがちな失敗。ニョッキはたっぷりの湯で茹で、茹で上がりはザルに鍋をひっくり返して一気に湯切りするのではなく、スキンマー(穴あきのお玉)でニョッキをすくって湯切りしましょう。

 

卵を加える

ニョッキの崩壊を防ぐのに効果的なのは卵を加えること。イタリアでも『新じゃがには卵を使え』と言われます。慣れてくると卵なしで軽く仕上げられますが、初めてニョッキを作るなら卵を加えるとよいでしょう。

加える卵の量は『じゃがいも1㎏に対して卵1個』が基準です。

 

 

ニョッキに合わせるソースは?

トマトソースと合わせたニョッキ

合わせるソースの定番はトマトと挽肉のソースだけれど、もちろん好みのソースを合わせていろんなニョッキを楽しめます。

ゴルゴンゾーラを溶かしても美味しいし、マッシュルームとサルシッチャのニョッキも絶品ですよ!

じゃがいものニョッキはこうしていろいろなソースに合わせられるため、イタリアでは基本的にチーズなどを加えずに出来るだけシンプルに作ります。確かにチーズを加えないほうがソースがより引き立ちますよね。

じゃがいものニョッキの作り方

材料 (5-6人分)

ニョッキ

  • じゃがいも 1㎏ (皮つき)
  • 小麦粉  250~300g程度 ※強力粉で作るとまとまり易いですし、強力粉と薄力粉を半分づつ混ぜてもよいです。
  • 塩 小さじ½ほど

※新じゃがを使う場合や初めてニョッキを作る方で崩れが心配な場合は、ここへ溶き卵1個(少量の場合は卵黄のみ)を加え、小麦粉の量を300g前後で生地がまとまる程度で調整してください。

※いっぱい作って下で説明するように冷凍するものおすすめだし、この半量で作ってももちろん大丈夫ですよ!

作り方

※工程写真は上記の分量の約3倍で作っています。ジャガイモ1㎏は約6個ほどです。ジャガイモと粉の計量はきちんとしてね!

gnocchi じゃがいものニョッキ

1)ジャガイモをよく洗い皮付きのまま水から茹でる。

※電子レンジで調理しても水分量を抑えられて手軽です。その場合も皮つきのまま加熱して下さい。

gnocchi じゃがいものニョッキ

2)フォークをさしてすっと入るなら茹で上がったサイン。取り出して熱々のうちに皮を剥く。

※ジャガイモの大きさにもよりますが冷水から茹でて30分以上は茹でて下さい。

gnocchi じゃがいものニョッキ

3)熱々のうちにマッシャ―またはフォークなどでつぶす。その後そのまましばらく置いておき、粗熱をとって蒸気を逃がす。

※フォークでつぶす場合は塊が残りやすいので丁寧につぶして下さい。つぶし方が甘いと茹でる時に崩れる原因となります。

gnocchi じゃがいものニョッキ

4)台に打ち粉をして、じゃがいも移し小麦粉と塩を徐々に加えて手かフォーク、もしくはスケッパーがあればスケッパーでサクサクと切るように混ぜ合わせて生地をまとめる。

小麦粉の量は生地が耳たぶの固さくらいになるようにジャガイモの水分量によって調整してください。

gnocchi じゃがいものニョッキ

5)生地がまとまってきたら一塊にし、打ち粉をまぶしておく。

gnocchi じゃがいものニョッキ

6)ナイフ等で少量ずつとり棒状に手のひらで転がして延ばし、1~1.5㎝程度にカットしていく。

gnocchi じゃがいものニョッキ

7)指に打ち粉をつけて真ん中を軽く押して手前にひきながらくるんと成型する。

gnocchi じゃがいものニョッキ

8)このようにくるんと丸くなるように。この形にするとソースがよく絡みます。難しければフォークで軽く押しつぶしてもOK。成型したものはくっつかないように打ち粉をまぶしておいてください。

ニョッキ

8)イタリアではこのように表面がギザギザしたニョッキ板の上で転がして作ったりもします。使い方の動画を下に載せていますのでどうぞ。

gnocchi ニョッキ

9)沸騰した湯に塩1%ほどを加えてニョッキを茹でる。浮いて来たら湯掻けたサイン、湯をきり好みのソースと和えて出来上がり。

ニョッキ板の使い方

ニョッキ板ではこのように成型します。こうして指で軽く押さえながら転がすことでくるんと丸くなり、ギザギザもつきます。

こちらはさつま芋のニョッキ作りの様子ですが、全体の流れはジャガイモのニョッキと同じです。インスタグラムの動画をスライドしてご覧ください。動画版もわかりやすいですよ!

インスタグラムではイタリアの郷土料理、季節のレシピを現地イタリアより公開中!フォローお気軽にどうぞ!

ニョッキ板(ニョッキボード)ってどこで買えるの?

日本ではニョッキ板(ニョッキボード)を買うならネット購入が一番手軽で簡単です。

種類も値段もいろいろ!自分にあったものを探してね!

※当サイトはAmazonアソシエイトプログラムに参加しています。

ニョッキの保存方法

いっぱい作って余ったニョッキは冷凍保存できます。

保存方法は 茹でる前の生のニョッキ をバットなどに少し間隔をあけて並べて数時間冷凍し、その後ジップロック等の袋に入れて冷凍します。

生のニョッキをそのまま袋に入れて冷凍するとニョッキ同士がくっついてしまいますので、こうして最初に間隔をあけて凍らせて下さい。

冷凍したニョッキのゆで方

冷凍ニョッキを使う時は 解凍せずに凍ったまま 沸騰した湯で通常のニョッキと同じように茹でて下さい。

ニョッキソースのレシピ集

gnocchi トマトソースのニョッキ

トマトと牛ひき肉のニョッキソース

トマトピューレをふんだんに使ったイタリアで一番定番のニョッキソース。イタリアのノンナ(おばあちゃん)がいつも作ってくれるシンプルなのにとても美味しいソースです。

サルシッチャとマッシュルームのニョッキ gnocchi con salsiccia e funghi

サルシッチャとマッシュルームのニョッキ

イタリアのソーセージであるサルシッチャとマッシュルームで作るクリーミーな絶品ソース。

ソレント風ニョッキのレシピ RICETTA GNOCCHI ALLA SORRENTINA

ソレント風ニョッキ(ニョッキ・アッラ・ソレンティーナ)

カンパーニア州の郷土料理でイタリアでもよく知られたニョッキ料理の定番の一つ。仕上げにオーブンで焼き上げるのが特徴でとろけるモッツァレラがなんとも言えない幸せな一品です。

Gnocchi di patate dolci con gorgonzola e speck さつま芋のゴルゴンゾーラソースニョッキ

さつまいもとゴルゴンゾーラのニョッキ

ほんのり甘いさつまいものニョッキにとろ~りゴルゴンゾーラがたまらない一品。たまにはこんなアレンジニョッキもいいですね!

栗粉のニョッキとチーズソース / gnocchi di castagne con speck e formaggio

栗粉のチーズソースニョッキ

栗の甘味とチーズの塩気のコントラストがたまらなく美味しい!秋味のニョッキです。じゃがいもを使わないので、さっと作れてしまう一品です。

イタリアのいろいろなニョッキ

イタリアにはジャガイモのニョッキ以外にもいろいろなニョッキがあります。このサイトでも紹介しているジャガイモ以外のニョッキのレシピ集です。

gnocchi alla romana ニョッキ・アッラ・ロマーナ ローマ風ニョッキ

ニョッキ・アッラ・ロマーナ(ローマ風ニョッキ)

じゃがいものニョッキと並んでイタリアではよく知られたローマのニョッキ。このニョッキはジャガイモではなく“セモリナ粉”から作られます。イタリア料理好きなら知っておきたい一品ですね。

canederli カネーデルリ/クネーデル

カネーデルリ

カネーデルリとはパンと卵で作るお団子のこと。イタリアの南チロル地方の郷土料理です。あまりニョッキというイメージのない料理かもしれませんが、これもニョッキの一種なんですよ。余ったパンでさっと簡単に作れる一品です。

error: Content is protected !!