ポレンタ -イタリアの冬の定番-

ポレンタとは?
ポレンタとはトウモロコシの粉から作られたお粥のような料理で、主に北イタリアから中部イタリアでの冬の定番料理。粉の挽きかたも地域によって変化し、北イタリアでは粗びき、南イタリアでは小麦粉のように粒子の細かい挽きかたになります。
ポレンタそのものの味は淡泊なので肉の煮込み料理などと一緒に食べられるのが一般的。もしくはポレンタにたっぷりのチーズを混ぜて食べるのも美味しいです。イタリアでは北イタリアの人々のことをポレントーネ(ポレンタを食べる人達)と呼ぶほどポピュラーな料理です。

ひと口にポレンタと言っても実は一種類だけではないんです。以下ではイタリアでの代表的なポレンタを紹介したいと思います。
ポレンタの種類
イタリアには様々なポレンタが存在するけれど大きくは以下の3種類に分けられます。
1)トウモロコシ粉の黄色いポレンタ

ポレンタで一番スタンダードなのがこの黄色いポレンタ。肉料理や野菜の煮込みと合わせるのが定番の食べ方で、北イタリアのみならず中部や南イタリアの山岳地帯でも食されます。この黄色いポレンタを木の板の上で冷ましてから固めて焼いた、“焼きポレンタ” も美味しい食べ方。


イタリアでは各地域でいろいろなポレンタ料理があり、ロンバルディア州コモ湖地域のポレンタ・ウンチャ(polenta uncia)はウンチャ(油分の多い)という名前のとおりバターをたっぷりと使用したポレンタ。
一方ヴァッレ・ダオスタ州のポレンタ・コンチャ(polenta concia)のコンチャは “たっぷりと混ぜ合わせた” という意味。たっぷりの牛乳やチーズを混ぜ合わせて作られたポレンタは食べ応えもかなりある、“山のポレンタ”。


2)ポレンタ・タラーニャ(そば粉のポレンタ)

ポレンタ・タラーニャ(polenta taragna)とは蕎麦粉と黄色いポレンタ粉をミックスしたポレンタで北イタリア、アルプス地方のバルテッリーナでよく食されます。黄色いトウモロコシ粉のポレンタが広まったのはコロンブスのアメリカ大陸発見の後のことで、このそば粉のポレンタの方が実は歴史が古いんですよ。
もともとこのバルテッリーナ地域は土地がやせていて作物が育ちにくい地域。そこで発達したのがアルプスの寒さの中でも、痩せた土地でも収穫できる蕎麦の栽培。蕎麦粉の割合が多くなるとそばのような黒っぽいポレンタとなります。
このポレンタ・タラーニャも肉料理と合わせて食べることが多く、ポレンタ・タラーニャにバルテッリーナ地域のチーズ、カゼーラを混ぜ合わせるのも代表的な食べ方です(レシピは下にあります)。

3)白いポレンタ
ポレンタの中でも珍しいのが北イタリア、ベネト州でのみ見られる白いポレンタ。この地域独特の白いトウモロコシから作られる粉から出来ているのでこのように白色をしています。他の2種のポレンタよりも滑らかで繊細な味をしているのが特徴で、ベネト州でポレンタと言えばこの白いタイプのことを指します。

ポレンタの作り方
ポレンタの基本的な作り方は至って簡単で、沸騰した湯にポレンタ粉をふり入れて煮るだけ。
ただし40分~1時間程度、ずっとかき混ぜ続けながら煮る必要があるのが大変と言えば大変な点です。
(ポレンタの作り方)


ポレンタ作りには伝統的に銅製の鍋が使われます。ポレンタ作りは1時間ほどかき混ぜ続ける必要があるのでイタリアでは鍋の中心に電動回転式の羽がついたポレンタ鍋なるものも存在します。イタリアでの秋から冬の間のお祭りでは大きな銅製の鍋でポレンタを作っているのを見かけることもありますよ。

ポレンタを使ったレシピ
料理名をクリックするとレシピのページに移動します。

キノコの王様と呼ばれるポルチーニ茸のソースを黄色いポレンタと合わせた一皿。ポルチーニの香りとポレンタが混ざり合うと何とも言えない美味しさ。

蕎麦粉のポレンタ、タラーニャを使った一品。たっぷりのチーズとバターを混ぜ込んだアルプス地域、バルテッリーナの郷土料理。ポレンタの中でとろりと溶けたチーズがたまらない、派手さはないけど素朴な料理。


ポレンタの付け合わせの定番は何と言っても肉料理。豚肉の腸詰、サルシッチャとポレンタの組み合わせはイタリアの雪山での定番料理。
イタリア通のフォロワーさんから教えていただくイタリア料理、イタリア野菜などの食材情報もたまに載せてます。
フォローお気軽にどうぞ!