ボローニャ風ラザニア

ボローニャ風ラザニア

ラザニアは日本でもお馴染みのイタリア料理の一つで、イタリア語ではラザーニャ(lasagna)、ラザーニェ(lasagne)と呼ばれ、もちろんイタリア人も大好きな料理。

次からこのボローニャ風ラザニアやイタリアのいろいろなラザニアについて本場イタリアより解説していきますね!

ボローニャ風ラザニアとは?

ボローニャ風ラザニアとはパスタ生地、ラグーソース、モッツァレラにパルミジャーノなどのチーズとベシャメルソース(ホワイトソース)を層になるように詰めて焼き上げたイタリアでも一番スタンダードなタイプのラザニアです。

今回のレシピは材料もシンプルで作りやすいものですが、各工程を丁寧に作れば抜群に美味しいものができるんです。ここではパスタ生地を作るところから説明していますが、もちろん市販のラザニアシート、パスタ生地を使えばもっと簡単に手軽に出来ますよ!

また、一度作り方をマスターすればラグーソースを工夫したり、チーズを変えてみたり、とオリジナルのレシピを作っても楽しいですね。

層になったラザニア

イタリアのいろいろなラザニア

他にもラザニアの本場、イタリアにはいろいろなレシピが存在するんです。

もう一つ、ラザニアで有名なナポリ版はベシャメルソースが入らずリコッタチーズを使用し、ラグーソースに加えて小さな肉団子(イタリア語でポルペッティーネ/polpettine)や茹で卵を加える家庭が多いです。

その他の地域ではトマトソースの入らない白いラザニア(イタリア語でイン・ビアンコ/in bianco)やパスタ生地にほうれん草などを入れた緑のラザニアもあります。

緑のラザニア生地
緑のラザニア生地(作り方は下のレシピをご覧ください)

そしてイタリアの家庭では、ラザニアはクリスマスや2月のカーニバル、またはイースターなど、家族が集まる大事な日に食べられる代表的な料理。それだけに各家庭ごとに “マンマのラザニア” があり、そのレシピは数え切れません。

またこのラザニア、実はとても歴史の古い料理でもあるんです。このラザニアの誕生から現在の姿になるまでは、レシピの後に詳しく説明しているので興味のある方はどうぞ。

いつだって歴史と料理の関係はおもしろいものですよ。

ラザニアの作り方(16×25㎝のグラタン皿1台分)

-パスタ生地-

材料(基本の生地)

  • 薄力粉 100g
  • 強力粉 100g
  • 卵 2個
  • オリーブオイル 少々
  • 塩 少々
  • 打ち粉用強力粉 適量

材料(伝統的な緑の生地)

  • 薄力粉 50g
  • 強力粉 150g
  • 卵 1個
  • ほうれん草を茹でて固く絞りブレンダーでペースト状にしたもの 50gほど ※量は生地の水分量を見ながら調整してください
  • オリーブオイル 少々
  • 塩 少々

作り方

pasta fatta in casa タリアテッレ 手打ちパスタ

1) ボウルに薄力粉、強力粉、卵、塩一つまみを入れてオリーブオイルを一まわしほど加える。フォーク等で卵を崩しながら生地をひとまとめにする。※緑の生地の場合はここでほうれん草ペーストを加えて下さい。その際ペーストは一度に加えず少しずつ混ぜると生地の水分量を調整しやすいです。パスタ生地は“固くしまった生地”です。

手打ちパスタ pasta fatta in casa

2)生地を作業台に移して滑らかになるまで力強く捏ねる。

手打ちパスタ パスタマシンの使い方

3) 生地が滑らかになったら丸く形を整えてオリーブオイルを塗ったボウルに戻す。固く絞った濡れ布巾をかけて30分~1時間ほど休ませる。

pasta fatta in casa 手打ちパスタの作り方 ラザニア生地

4) 打ち粉をした台に生地を広げ、麺棒で0.5-0.7㎜以下になるように出来るだけ薄く延ばしていく。延ばす際は生地を何度か裏返し、そのたびに打ち粉をして下さい。薄くのびたら10㎝×15㎝程度(もしくは手持ちの型に敷きやすい大きさ)にカットする。

pasta fatta in casa ラザニア

5)沸騰した湯に塩を加え、パスタを30秒ほど浮かんでくるまでさっと茹でる。

pasta fatta in casa ラザニア

6)茹で上がったら布巾の上に並べ水分を軽くとる。

-ベシャメルソース-

材料

  • バター 70g
  • 薄力粉 70g
  • 牛乳  700㎖
  • 黒コショウ(or ナツメグ)

作り方

ベシャメルソース

1) 鍋にバターを入れて弱火で溶かし、弱火に保ったまま薄力粉を数回に分けて加えて泡立て器でよく練り混ぜる。

ベシャメルソース

2) 薄力粉とバターがクリーム状になったら牛乳を3-4回ほどに分けて加え、泡立て器でダマが出来ないようにかき混ぜ続ける。火加減は弱火~弱い中火。

ベシャメルソース

3) 塩、胡椒もしくはナツメグで味を調える。焦がさないようにかき混ぜ続けながら一煮立ちさせ、とろみのあるクリーム状になったら出来上がり。

-ラグーソース-

材料

  • 牛挽肉 300g
  • トマトピューレ 600㎖(トマト缶なら2缶ほど)
  • 玉ねぎ ¼個
  • 人参 1本
  • セロリ 1本
  • ニンニク 1片
  • 赤ワイン 100㎖
  • ローズマリー 少々
  • EVオリーブオイル

作り方

ragu ragù ラグーソース

1) 玉ねぎ、人参、セロリ、ニンニクはみじん切りにする。フライパンにたっぷりのオリーブオイルを入れてみじん切りにした野菜とローズマリーを一緒に10分ほど弱火で炒める。

ragu ragù ラグーソース

2) 牛挽肉を入れて火加減を強火にして数分炒める。その後赤ワインを加えて強火のままアルコールを飛ばすようにさらに数分炒める。

ragu ragù ラグーソース

3) トマトピューレ、塩を加えて弱火で1時間ほどじっくりと煮る。しっかりと煮込まれ味がまろやかになったら出来上がり。※トマト缶を使う場合はあらかじめブレンダーでピュレ状にして下さい。

-ラザニアへの仕上げ-

材料

  • モッツァレラチーズ 300g
  • パルミジャーノ 100g

作り方

ラザニアのモッツァレラチーズ mozzarella

1) モッツァレラは1㎝弱にスライスし、キッチンペーパーで挟んで1時間ほど水切りをする。 ※モッツァレラは焼くと水分が多く出ます。イタリアではモッツアレラをオーブン料理に使う場合はこうしてキッチンペーパーで水切りしてから使うんですよ。

ボローニャ風ラザニア

2)水切りしたモッツアレラは小さく切る。パルミジャーノはすりおろしておく。

ボローニャ風ラザニア

3)オリーブオイルを塗った耐熱皿に茹でたパスタをひき詰めてラグー、モッツアレラ、パルミジャーノをまんべんなく加える。

ボローニャ風ラザニア

4)同じ要領でさらにパスタ生地と詰め物を4-5層ほど作り、最後にパスタ生地を被せる。最後のパスタ生地の上は軽くラグーソースを塗ってパルミジャーノをまぶす程度にする。180℃に予熱したオーブンで35-40分ほど焼いたら出来上がり!

※焼き上がりから数分おいてから切ると切りやすいしキレイにきりわけられますよ!

ラザニアの歴史

さて、ではラザニアは一体いつから存在している料理なのだろう?

実はその歴史はとても古く、紀元前のローマ時代から存在していたそう。

ラザニアの語源はギリシャ語のラガノン(laganon)、もしくはラテン語のラガヌム(laganum)が意味する “薄くて四角い形状のもの” に由来すると言われています。この小麦粉から作った薄いパスタ生地と肉を一緒に調理したものが現在のラザニアの原型。

時代は下り、1300~1400年代にかけてのナポリ王国で書かれた料理本、“Liber de Coquina” (リーベル・デ・コクイーナ)にもラザニアが登場しています。ここでは “パスタ生地は茹でられて” いると記されていますが、まだ卵入りの現在のようなラザニアの生地ではなかったそうです。

ここにチーズを加えたバージョンが誕生したのはもっと時代が下ってから、17世紀のナポリ。1634年、ジョバンニ・バッティスタ(Giovanni Battista)がその著書、”lucerna de corteggiani” でモッツァレラとその他のチーズを使ったラザニアについて述べているんです。

そしてトマトソースを使った現在のようなラザニアになったのは同じくナポリ、アメリカ大陸からヨーロッパにトマトがもたらされ、トマトが食用としてイタリアに普及した18世紀以降のこと。そのころに現在のような “層になった ラザニア”になっていったんです。

つまり、現在のようなラザニアの姿になったのは18-19世紀ごろということになります。

そう考えるとローマ時代のラザニアは今とは随分異なるシンプルなものだったのでしょうね。

lasagne alla bolognese ボローニャ風ラザニア
ほうれん草を練り込んだ緑のパスタ生地で作るラザニア。

また現在、イタリアで一番スタンダードなラザニアであるボロネーゼ(ボローニャ風)のオリジナルのパスタ生地は実はほうれん草を練りこんだ“緑のパスタ” だったそう。実際にボローニャではほうれん草のパスタ生地を使うお店も多いです。

そして冒頭で書いたように今のイタリアには北から南、いろいろなタイプのラザニアが存在し、それぞれの家庭での “伝統のレシピ” があります。

さてさて、あと数百年後の未来、いったいイタリアのラザニアはどんな進化を遂げているんだろう?

もしかしてそれは、私達の全く想像していない姿になっているのかもしれませんね。

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