永遠の都、ローマでの定番パスタであるアマトリチャーナ。
このとっても美味しいパスタ料理について、本場イタリアより解説していきますね!
アマトリチャーナとは?
カルボナーラ、カチョエペペと並んでローマの3大パスタと知られるのがこのアマトリチャーナ(amatriciana)。
どんなパスタかと言えば、豚のほほ肉から作られる グアンチャーレ と玉ねぎを炒めて トマトで煮たソースをパスタに絡めたもの。
仕上げにすりおろす ペコリーノチーズ もこのアマトリチャーナの大事な要素です。
アマトリチャーナに欠かせない!グアンチャーレとペコリーノチーズ
グアンチャーレとは?
グアンチャーレ(guanciale)とは豚のほほ肉を塩漬けして胡椒やハーブで香りづけをして熟成されたもの。
イタリアのベーコンであるパンチェッタとよく似ていますが一番の違いは豚の部位の違い。グアンチャーレはほほ肉(および首から肩にかけての肉)から作られるのに対してパンチェッタは腹部のバラ肉から作られます。グアンチャーレは熟成期間が通常約3か月以上と、パンチェッタの熟成期間よりも長いので香りがよい脂となるのが特徴です。※パンチェッタの熟成期間は様々ですが通常は1-2か月です。
イタリアではこのグアンチャーレの脂がアマトリチャーナにとって重要な存在と言われます。またグアンチャーレは、薄切りのものが脂が固まらずにうまく溶け出すのでおすすめ。
とは言っても日本ではグアンチャーレはなかなか手に入らないのでその場合はベーコンで代用OKです。
ペコリーノチーズとは?
そしてこのアマトリチャーナに欠かせないもう一つの主役がペコリーノチーズ。
ペコリーノチーズとは羊(イタリア語でペコラ/pecora)のミルクから作られるチーズの総称でイタリアには数多くのペコリーノチーズが存在します。
このアマトリチャーナはローマのパスタとして有名ですが、このアマトリチャーナの故郷はイタリア中部のアペニン山脈地帯のアマトリーチェ(Amatrice)というところ。ちなみにイタリア語でアマトリチャーナとは “アマトリーチェの” という意味なんですよ。
イタリアの背骨、アペニン山脈では昔も今も羊牧が盛んでこの地域の料理にはよくこうして羊のミルクから作られるペコリーノチーズが使われるのも特徴です。
ローマでよく使われるのはペコリーノ・ロマーノという塩味の強いチーズですが、ローマ以外ではそれ以外のペコリーノで作るバージョンも多いです。今回はペコリーノ・ロマーノより優しい味わいのアマトリーチェのペコリーノチーズ(ペコリーノ・アマトリチャーナ)を使用しています。
さてこのローマっ子に愛されるアマトリチャーナ。
今ではこのようにトマトで煮るソースが一般的ですが、アマトリチャーナが生まれた当初の姿は今とはちょっと違っていたようなんです。
ではアマトリチャーナはどのように生まれて、どうしてアマトリーチェから離れたローマのパスタとして知られるようになったのか?
その辺の物語についてはレシピの後でお話ししますね。
アマトリチャーナの作り方・レシピ
材料 (2人分)
- 好みのパスタ 200g
- グアンチャーレ(もしくはベーコン) 120g
- 玉ねぎ ¼個
- トマトピューレ 300~400㎖ (もしくはトマト缶 1缶)
- 白ワイン 40㎖
- ペコリーノチーズ(仕上げ用) 少々
- (好みで)唐辛子 少々
- EVオリーブオイル 大さじ3杯ほど
- 塩
- 胡椒
作り方
1)フライパンにオリーブオイルを入れて薄く切ったグアンチャーレ、みじん切りにした玉ねぎに胡椒をふって弱火〜中火で炒める。好みで唐辛子を加えても。
※グアンチャーレは薄くスライスすることで脂分が固くならずに上手く溶けるのでおすすめです。
また強火でいきなり炒めると脂身が固くなってしまいますので、弱火でじっくりと脂を溶かすように炒めて下さい。
2)白ワインを入れて強火にし、アルコールを飛ばすように炒める。
3)トマトピューレ、塩を加えて蓋をしてたまにかき混ぜながら25-30分ほど煮る。
※ホールトマト缶を使う場合はあらかじめフォークで潰すかブレンダーでピュレ状にするといいです。
4)パスタを茹でて茹であがったら湯をよく切りソースと絡ませて出来上がり。
仕上げにペコリーノチーズをたっぷり削って召し上がれ!
アマトリチャーナの歴史
さてこのイタリアの代表的なパスタの一つ、アマトリチャーナ。さぞ長い歴史のあるパスタかと思いきや、今のような形になったのは1900年代ごろと言われる意外にも新しいパスタなんです。
ただしグアンチャーレを使ったパスタというのは養豚の盛んなイタリア中部では昔から存在していた料理で、昔はトマトを使っていないもっとシンプルなものだったそう。そしてこのグアンチャーレに同じくアペニン山脈に豊富にあるペコリーノチーズをかけたアマトリーチェからトマトを抜いた感じのパスタはイタリアではグリーチャ(gricia)という名前で呼ばれ、現在のイタリアでもよく食されています。
そしてこのグリーチャが現在のアマトリーチェのようになったのが1900年代のローマ。もともとアマトリーチェの放牧を営んでいた人々がローマに持ち込んだグアンチャーレのパスタにトマトソースを加えたものが美味しかったためにローマのトラットリアで広まり、今ではローマのパスタとしてよく知られるようになりました。
ローマでよく使われるのはブカティーニというスパゲッティの中心に穴があいたような上の写真のパスタ。もちろん、イタリアではこのレシピのようにショートパスタを使ったものなどいろんなバージョンのアマトリチャーナがあります。
さて、こうしてアマトリチャーナについて長々と書いたけれど、こういうシンプルなパスタほど素材の美味しさがストレートに出てくるもの。そして素朴なローマのトラットリアでイタリアーノ達の楽しいおしゃべりをBGMに聴きながら食べるアマトリチャーナはさらに美味しく、印象深い一皿となるのではないでしょうか。
もしもローマを訪れたなら、そんな美味しい思い出としてこのアマトリチャーナを味わって欲しいなと思います。