モストコットとは聞きなれない名前ですよね。
イタリアのとっておきの調味料、モストコットとは?
次から詳しく解説していきますね!
モストコット(サパ/サバ/ヴィンコット)とは?
モストコット(mosto cotto)とはイタリア語でモスト(mosto)と呼ばれる葡萄の絞り汁を加熱した葡萄の濃縮液のこと。
ちなみにコット(cotto)とはイタリア語で “加熱した、煮た” という意味なんですよ。モストは葡萄の絞り汁でワインの原料となるものですが、このモストコットは加熱によりアルコール発酵が阻止されるためアルコールを含みません。
甘味の強い濃厚なモストコットはそのままチーズに少しかけたり、お菓子作りに使われたりします。
イタリアでこのモストコットをよく使う地域としてはエミリア・ロマーニャ州、マルケ州、ウンブリア州、アブルッツォ州、プーリア州、サルデーニャ州など。
モストコットは別名サパ(sapa)やサバ(saba)とも呼ばれますが、その語源はラテン語のsàpor=味、風味から来ていると言われています。また地域によってはヴィンコットと呼ばれることもあります。
世界一のワイン生産国であるイタリアではこのモストコットもどこでも手軽に手に入る一般的な食材かと思われるかもしれませんが、実は意外にもイタリアでも普通のスーパーではまず見かけません。ワイン生産地の人たちはこのモストコットを手作りをしたり、知り合いから分けてもらったりしているんですよ。
・モストコットってどうやって作られるの?
まず収穫後の葡萄の絞り汁はすぐに火にかけられます。その後温度調整されながらそのまま何時間も、長い場合は24時間~数日ゆっくりと煮詰められます。水分が飛び、とろりと濃厚な液体となったらモストコットの出来上がりです。
・モストコットに使われる葡萄はどんな種類?
イタリアでは地域により様々な品種のブドウがあり、モストコットに使われるブドウも地域ごとに、または作り手ごとに異なります。モストコットの原料のブドウはその色から赤ブドウを想像するかもしれませんが、白ブドウからも作られるんですよ。白ブトウで作る場合も長時間の加熱によりモストコット特有のつやのある黒蜜のような色になります。
・バルサミコ酢の原料になるモストコット
実はバルサミコ酢の原料はモストコット。このモストコットを木の樽に詰めて熟成されたものがバルサミコ酢となるんです。バルサミコ酢の生産地であるエミリア・ロマーニャ州のモデナではよくランブルスコ種(赤葡萄)やトレビアーノ種(白葡萄)が使われます。
※バルサミコ酢についてはこの下に載せたインスタグラムの【バルサミコ酢醸造所見学】の投稿で実際に見学した様子を詳しく書いてます。なんと “200年もの” のバルサミコ酢 の写真も載せています。皆さんから頂いたコメントもなかなか面白いですよ!
モストコットの味わい方
モストコットはそのままチーズにかけても美味しいです。合わせるチーズは熟成タイプのものや、またはリコッタやロビオーラなどのフレッシュチーズにかけるのもよく合いますよ。他にもジェラートなどのデザートにソースとして少し垂らすのも手軽でおすすめの味わい方。その他にもお肉のローストにソースとして少しかけても美味しいです。
・イタリア各地のモストコットを使ったお菓子
イタリアには中部から南部を中心に各地域でモストコットを使った伝統菓子があります。中部~南イタリア全般でよく見るひし形のビスコッティであるモスタッチョーリ(mostaccioli)、エミリア・ロマーニャ州(特にロマーニャ地方)のモストコットとドライフルーツや栗で作るビスコッティのサバドーニ(sabadoni)、アブルッツォ州のコーン状のワッフルのようなお菓子であるネーヴォレ(nevole)、プーリア州ではププラーティ(pupurati)やカルテッラーテ(cartellate)サルディーニャ州のモストコットのケーキとして知られるトルタ・ディ・サーパ(torta di sapa)、シチリア州のムスターテ(mustate)などがあります。また北イタリアのピエモンテではクニャと呼ばれるモストコットで作るジャムもあるんですよ。
モストコットを使ったレシピ集
プーリア州でクリスマス期に作られるお菓子。薄いパスタ生地を花のように成型して揚げ、モストコットを絡めた揚げ菓子です。モストコットの甘味と酸味が揚げ菓子をさっぱりしてくれ、パクパクと食べれてしまいますよ。
南イタリアのプーリア州フォッジャ県周辺で11月2日の死者の日に作られる伝統菓子。モストコットにスパイスが効いてとても美味しいビスコッティです。