ドブロブニク ₋ アドリア海に浮かぶオレンジ色の真珠
-街歩きは夕暮れから-
ドブロブニクの最初の景色は夕暮れだった。
メインのピレ門と反対側のプロチェ門から旧市街へと入る道は人通りも少なく、その高い城壁が何か過去へといざなうような不思議な雰囲気がある。
ひと気の無い城壁を抜けてプラツァ通りへ出るとその美しさと賑わいに驚いた。
沈んでいく夕日に空が美しく染められ、街に灯りだす明かり、そしてそこを行き交う人々の活気がこの街をアドリア海における勇逸無二の雰囲気を醸し出していた。
プラツァ通りを歩いていると衛兵が太鼓を鳴らしながら歩いてきた。
この衛兵たち、プロチェ門の前にも立っていたけど一定の時間になったら街を行進するのだろうか。
ジェラートを食べながらその行進を見ていると、娘が抱っこをせがんできた。
さぁ、今日もよく歩いた。
今夜はこの辺へ切り上げるとしよう。
-オレンジ色とブルーの街-
朝の目覚めはこの景色から。
滞在していたレジデンスのバルコニーで旧市街を眺めながらの朝食。
長期のバカンスはやはりレジデンスの滞在がいい。
パジャマのまま、好きなものを作ってのんびりテラスで朝食、とはホテルでは出来ないからだ。
朝食を済ませた後は歩いて再び旧市街へ。
ドブロブニクでは外せない “城壁歩き” をしよう。
6月のドブロブニクはもう真夏。
もちろん城壁の上に日陰などない。
照り付ける太陽は強烈だ。
そしてこの陽射しがオレンジ色の屋根をさらに鮮やかに輝かせる。
城壁歩きは街をぐるりと一周出来るけれど、あまりの陽射しに半周コースにした。
半周ならば絶対に山側を歩くのがお勧め。
海と街の美しい色彩のコントラストを眺めらるからだ。
このクロアチア旅行記のタイトル画像にした写真はこの城壁歩きの途中に撮ったもの。
なんとも鮮やかなオレンジと海と空のブルーにしばし見とれる私達。
城壁歩きの後は宿へ戻り、ランチを兼ねて休憩。
炎天下の日中よりも涼しい夜の街歩きのほうがいい。
滞在先へ戻るとオーナーと軽くおしゃべり。
彼女いわく、
「ここ数年のドブロブニクの物価の高騰はものすごい。今じゃ地元の人は旧市街でカフェなんて出来ないのよ。以前は普通に旧市街でお茶ができたのに。」
と嘆いていた。
クロアチアは2013年にEUへ加盟したもののEU諸国の中でも物価の低い国。しかしここドブロブニクは完全に例外だ。
街歩きの途中で見たレストランはどこもいい値段だった印象がある。その割には(イタリアで地中海料理を食べ慣れているせいもあるが)魅力的な料理を出すところは正直なところあまりなかった。もちろん旧市街で食べる、というロケーションは最高だけれど。
無理して街中で食べるよりも涼しい風の通るテラスで美しい街を眺めながらのランチの方が私達には魅力があった。
そして陽が沈むころに再び街へと戻り、夜の散策を楽しんだのだった。