“暗殺者のパスタ” とはなんとも物騒な名前。。。
一体どんなパスタなのか? 本場イタリアではどうやって作るのか?
現地イタリアより、イタリアの本当の情報をお届けしている当サイトだからこそ出来る解説を、お届けします!
暗殺者のパスタとは?
まず、暗殺者のパスタとはイタリア語でスパゲッティ・アッラッサシーナ(spaghetti all’assassina)と呼ばれる南イタリアのプーリア州発祥のパスタ。
名前にスパゲッティとあるように、ショートパスタでななく、スパゲッティで作ります。
暗殺者のパスタの主な材料はとてもシンプルで、スパゲッティ・トマトソース(トマトペースト)・唐辛子・ニンニク・オリーブオイル・塩。これだけ。トマトの旨味を最大限まで生かして作るのが特徴で、イタリアではもちろん顆粒コンソメ等は使いませんよ。
スパゲッティをフライパンで焼きつけてからトマトソースを煮含ませていく、独特の調理法で作るパスタです。
トマトペーストとは?トマト缶でも出来るの?
この暗殺者のパスタはよくトマトをペースト状になるまで煮詰めたものを使います。ですが、イタリアではトマトピューレ、トマト缶、もしくは生のトマトから作る人もいるので、必ずしも「絶対にトマトペーストで作らなければいけない」、という事はありません。
トマト缶ならブレンダーにかけるなど、ピュレ状にしてから水を加えてスープにしてから使うといいですよ。
独特の調理法が美味しさの秘密!
材料だけ見ると特に変わったところのないパスタ料理に思われますが、この料理の特徴は、調理の仕方。
パスタを茹でてからソースと合わせるのではなく、フライパンに直接入れてソースを吸わせ、焦げ目をつけながら火を通していくんです。こうすることで、トマトソースがより濃縮した味になり、そのソースを吸ったスパゲッティのこんがり感・香りが 抜群に美味しい一皿になるんですよ。
使うフライパンはどんなものがおススメ?
出来れば、鉄製のフライパン で作ると焦げ目がうまくつきやすいですが、お手持ちのノンスティックタイプのフライパンでも大丈夫です(コツは下のレシピの中で説明しますね)。
ただし、小さなフライパンだとスパゲッティが入らないので出来れば 直径32㎝程度のフライパン を使うのをおススメします。
小さなフライパンだとスパゲッティを折って入れなければならないので、やはり “ロングパスタ独特の美味しさ” は諦めなければいけません。
暗殺者のパスタの歴史・名前の由来
暗殺者のパスタは、“前日の残り物パスタを利用するために生まれた” わけでも、“何百年の伝統がある郷土料理”でもありません。
この料理が誕生したのは意外にも最近の話、1960年代後半。プーリアの州都であるバーリ(Bari)のエンツォ・フランカヴィッラ(Enzo Francavilla)のレストランである AL SORSO PREFERITO にて提供されたのが発祥とされています。
暗殺者のパスタの名前の由来は?
この恐ろしい料理名の由来、、、知りたいですよね。
実ははっきりとした由来は分かっておらず、いくつかの説があるんです。
- レストランでこのパスタを食べたお客さん達が、オーナーのエンツォにあまりの美味しさに“Sei un assassino!” 「殺人者か!」(殺人級に美味しいかったから) と言ったから。※ちなみにこのお客さん、北イタリアから来た人たちだったそう(笑)
- 唐辛子の辛さが鋭く、殺人的なパスタだったから。
- トマトソースをフライパンに入れる時に跳ねるソースが、まるで殺人現場のようだから。
などなど。まぁ、はっきりとは名前の由来がわかっていないんです。
本当の意味は、『殺人者のパスタ』ではないって知ってる?
アッサシーナ(assassina)とは、殺人者、キラー、暗殺者という意味。ここへイタリア語の冠詞前置詞である ALL’ がつくと、 『暗殺者風スパゲッティ』という意味なんです。
なので『暗殺者のパスタ』という訳だとイタリア語は Spaghetti dell’assassino になるのでちょっとイタリア語の感覚と少し異なる訳にされてしまっているんですよね。
このようなイタリア料理の訳は実はとっても多いんです。まぁ、この辺は日本語ネイティブからすれば、日本語にした時のゴロのよさ、言葉のリズム感もあるので、そこまで気にしなくてもいいと言えばいいんですけどね。おまけの解説でした。
イタリアで大流行ってほんと???
うーん。大流行というのは、、、皆様お気づきかもしれませんが、大げさな表現です。言われてみれば、ほんのちょこっとだけSNSでみる頻度が増えたような、そうでもないような、、、程度です。
イタリアには日本のように『流行ってるからと言ってみんな右向け右!で真似をする』文化はありません。
イタリア人に、「Conosci gli spaghetti all’assassina ? (暗殺者のパスタって知ってる?)」 って聞いても大部分の人は「何それ?」って答えますよ。
イタリアには日本のような、いわゆる “流行” は存在しないんです、個人主義の国ですから。
このBacchette e Pomodoro は 現地イタリアから、イタリア&日本のダブルネイティブのファミリーが発信しているサイトですので、その辺りは信用してもらって大丈夫です。
インスタグラムでは、こんな感じで 現地在住ならでは の、本当のイタリア情報&レシピが見れるよ!
暗殺者のパスタの作り方・レシピ
材料 (2人分)
- スパゲッティ 200g
- ☆トマトペースト(3倍濃縮タイプ) 100gほど
- ☆水 約600ml
- ☆砂糖 ひとつまみ
- ☆塩 小さじ1杯弱
- トマトピューレ 150ml
- ニンニク 2辺
- 唐辛子 お好きなだけ
- オリーブオイル 80-90mlほど(フライパンの大きさによって要調整。フライパン全体にオイルがいきわたる量が必要です)
※トマトペーストが無ければ、トマト缶1/2個をブレンダーにかけたもの、もしくはトマトピューレ250-300ml程度(濃度によって要調整)を水350mlほどと混ぜて火にかけて下さい。
作り方
1)【トマトスープを作る】鍋に水以外の☆印の材料を入れ、水を少しずつ加えてよく混ぜる。
火にかけて軽くひと煮立ちしたら火を止める。
※トマトペーストが無い場合はトマト缶やピューレを水でサラサラとしたスープ状に薄めれば大丈夫です。(プーリアではペーストで作る人が多いですが、正直、トマトピューレで作っても美味しくできます。)
2)フライパンにオリーブオイルを入れて半分に切ったニンニクと唐辛子を入れて弱火で温める。オイルに香りと辛味が移ったらニンニクを取り出す。
※この料理は次の工程から強火で調理していくので、みじん切りにしたニンニクだと焦げてしまいます。この時点でニンニクを取り除きましょう。
3)トマトピューレ150mlを加える。
※イタリアではどの家にも必ずトマトピューレがあるんです。無ければ1のトマトスープを使っても大丈夫!
4)スパゲッティを広げるようにして入れて火加減を強める。
ソースがスパゲッティに染み込んで、軽く焦げ目が付くまでスパゲッティは触らないでください。特にノンスティックタイプのフライパンで調理する場合、ここでスパゲッティを動かしてしまうとうまく焦げ目が付きません。
5)スパゲッティに焦げ目が付いたらトング等で裏返し、トマトソースをフライパンにお玉2-3杯ほど加える。
6)火加減を少し落とし、スパゲッティがスープを吸ったら加え、またスープを吸ったら加えるを繰り返す。(必要ならば水少々を足す)
味見をして塩が足りなければ塩で味を調える。
味見をして固さを確認し、スパゲッティに火が通ったら出来上がり!
暗殺者のパスタと “同じ材料” で作るイタリアのパスタは?
パスタ・トマトソース・ニンニク・唐辛子 の組み合わせで忘れてはいけないパスタがありますよね。
これです、コレコレ!【アラビアータソースのペンネ】
暗殺者のパスタは正直、好きか嫌いか、はっきりと意見が分かれるパスタ料理だと思います。
でもアラビアータソースのペンネは、やっぱり定番だけに安心感のある美味しさ。
『本場式! アラビアータソースのペンネの作り方』 のページでは、レシピや “ちょっと笑っちゃう小話” も紹介しています。
これを読んだらあなたも「ペンネアラビアータって美味しいよね~!」と、ちょっといいずらくなるかも!?