鰯を使った料理でイタリアでよく知られるのがこのベッカフィーコ。
次からこのとっても美味しいベッカフィーコについて、本場イタリアより解説していきますね。
鰯(イワシ)のベッカフィーコとは?
鰯のベッカフィーコ(sarde a beccafico)とは南イタリア、シチリアの郷土料理でいわしにパン粉、レーズン、チーズなどをミックスした詰め物をして焼いたもの。シチリアにはザックリ分けて島東部のカターニア風と島西部このパレルモ風があり、またその二つを合わせたようなスタイルなどいろいろなベッカフィーコがあります。
・パレルモ風イワシのベッカフィーコとは?
パレルモ風のベッカフィーコは、開いたイワシにパン粉、松の実、レーズン、オレンジ果汁などを混ぜた具を詰めてイワシの尾を立てるようにくるりと巻いてオーブンで焼いたもので、ベッカフィーコと言えばこのパレルモ風が有名。レーズンにオレンジのフルーツの甘味とイワシの意外な組み合わせがとても美味しい料理です。
・カターニア風イワシのベッカフィーコとは?
対してカターニア風のベッカフィーコは詰め物がパン粉にシチリアでよく食されているチーズのカチョカバッロやペコリーノチーズを加えたものになり、その詰め物を開いたイワシに挟んで油で揚げるスタイルになります。
ベッカフィーコはシチリアのレストランでは前菜としてお馴染みだけれど、もちろんメインとして食べたりもします。
さてこのベッカフィーコ、今ではシチリアのイワシ料理としてお馴染みですがこの料理はもともとイワシを使ったものではなかったんです。
では一体どんな食材を使った料理だったのか? なぜイワシが使われるようになったのか?
その辺のストーリーはレシピの後でお話ししますね。
パレルモ風ベッカフィーコの作り方
材料 (4人分)
- 鰯 500g
- パン粉 ½カップ
- 干しぶどう スプーン2-3杯
- 松の実 スプーン 2-3杯
- オレンジ 1個
- イタリアンパセリ 少々
- ローリエの葉 数枚
- EVオリーブオイル 適量
- 塩
作り方
1)鰯は開いて頭、ワタ、中骨を取る。水で洗って水気を丁寧にふく。
2) レーズンは水で10分ほど漬けて柔らかくする。
3) フライパンにオリーブオイル大さじ2杯ほどを入れてパン粉と松の実を軽く黄金色になるまで炒る。
6) 炒ったパン粉、松の実、水気を絞ったレーズン、オレンジの半量のしぼり汁、みじん切りにしたイタリアンパセリ、オリーブオイル、塩を加えて手で混ぜる。
7) イワシに詰め物をしてくるっと丸めて楊枝で止める。オリーブオイルを塗った耐熱容器に並べてローリエの葉を数枚挟み、上から余ったパン粉をまぶす。残り半分のオレンジを絞りかけてオリーブオイルも軽くふりかける。200℃に予熱したオーブンで15-20分ほど焼いたら出来上がり! (焼き時間は鰯の大きさによって調整してください)
ベッカフィーコの歴史と名前の由来
さてこのベッカフィーコ、冒頭でも書いたようにもともとはイワシ料理ではなかったんです。
ベッカフィーコとはそもそも鳥の名前。イチジク(イタリア語でフィーコ)を好んで食べる小鳥で1800年代シチリアの貴族達が狩りで捕ってきたこのベッカフィーコに詰め物をして焼いて食べていたのが始まり。これを海に豊富にあるイワシで庶民が真似をして作ったのが現在見られるベッカフィーコとなったいうわけ。
イワシのしっぽをこうしてツンと上に向けて巻くスタイルは小鳥のしっぽをイメージしたのでは、と言われています。この庶民の料理が今ではベッカフィーコとして愛されるシチリア料理になったのだからシチリアの人のアイディアは美味しく、そして楽しいなと思います。
高価な食材も安価な食材も、結局のところ料理する人次第なのかもしれません。
そして手軽な食材で美味しものが出来るのであれば(おまけにイワシは身体にもいいし)、こんなにうれしいことはないですよね。
しかしまぁ、貧しい庶民の料理が今ではシックなレストランで出されたりするんだから、これを見たら当時の貴族たちはどんな事を思うんでしょうね。
「ふん、庶民の料理なんて!」
とか言いながら、イワシのベッカフィーコを美味しそうに食べてる人々を横目で羨ましそう眺めたりするのかな(笑)。