南イタリア、プーリア州の絶品料理 ムール貝のティエッラ。
このティエッラとは一体どんな料理なのか?
次から詳しく解説していきますね!
ティエッラ(リーゾ・パターテ・エ・コッツェ)とは?
ティエッラ(tiella)とは、ムール貝とお米とジャガイモを層にしてオーブンで焼き上げた、南イタリアのプーリア州の郷土料理。ムール貝のうま味を吸ったお米がなんとも美味しい、南イタリアの絶品料理です。
特にプーリア州の州都であるバーリ(Bari)周辺でよく作られるので、“バーリ風” という意味のティエッラ・バレーゼ(tiella barese)とも呼ばれます。ちなみにプーリア州ってイタリアでもムール貝をよく食べる州として知られているんですよ。
イタリアでは、お米(リーゾ)とジャガイモ(パターテ)とムール貝(コッツェ)という意味の “リーゾ・パターテ・エ・コッツェ(riso patate e cozze)” という呼び名の方が一般的で、プーリア州のレストランやお惣菜店などでもよく見るんです。
ティエッラとは、どういう意味?
ティエッラのもともとの意味は、鍋。このティエッラ・バレーゼには伝統的に テラコッタの丸い鍋 を使いますが、現在は普通のグラタン皿などで作る家庭も多いです。
余談ですが、イタリアに ティエッラ という料理名でもう一つ有名なのは、ラツィオ州(ローマのある州)のティエッラ・ガエータ(tiella gaeta )があります。このティエッラ・ガエータは、野菜などを詰めて焼いたパイ料理で、同じティエッラという名前でも全く違う料理なんですよ。
ムール貝の下処理の仕方、開き方、そしてレシピ集はムール貝の下ごしらえと美味しい食べ方のページに詳しく書いています。
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ティエッラの起源って? -ティエッラの歴史について –
さてこのとっても美味しいティエッラ。一体いつ頃から存在していた料理なのでしょう?
ティエッラのように、野菜を他の材料と合わせて焼き上げる料理はプーリア州にはもともと存在していたようなのですが、現在のような形になったのは1500年代中期から1700年代後半の間、スペインの支配を何度か受けていた時代になったと言われています。
この時代にスペイン風の料理スタイルの影響を受けて、現在のようなティエッラになったそう。そう言われてみればムール貝とお米という組み合わせはスペイン、バレンシア地方の郷土料理であるパエリアにどことなく似ていますね。
そして昔はオーブン(窯)を持っている家庭はほとんどなく、パン屋などの窯へそれぞれのティエッラを持って行って焼いていたそう。昔のプーリアでは窯のある至る所でこのティエッラの美味しい香りが漂っていたのかもしれないですね。
私が実際にプーリアで食べたティエッラの写真は、したのティエッラこぼれ話で載せていますのでどうぞご覧ください!
ティエッラの作り方・レシピ
ティエッラ作りのコツ
ティエッラの作り方は至ってシンプル。開いたムール貝とジャガイモ、お米を詰めてオーブンで焼くだけです。シンプルなだけに素材のよさ、特にムール貝の新鮮さが美味しさを左右します。ムール貝は調理の時点で生きていることが重要です。
イタリアでは、ティエッラを作るとき、ムール貝を生の状態で開きます。なぜかと言うとムール貝を生からオーブンで焼くことでお米にムール貝のうま味がよく馴染み、貝もふっくらと仕上がるから。ただ、ムール貝を生で開くのは少しコツがいりますので、難しければムール貝の下処理の仕方のページで書いている加熱して開く方法でもいいかと思います。
お米は粒がつぶれにくいカルナローリ米や、アルボリオ米など大粒のお米が使われます。ですが手に入りにくい場合は、もちろん日本のお米でもOK。いずれのお米を使う場合も、最初にさっと水で洗って表面のでんぷん質を落とすことで、粒同士がべったりとくっついて仕上げるのを防ぎます。
材料 (4人分)
- ムール貝 1.5㎏
- 生米 150g
- じゃがいも 3個
- 玉ねぎ 小1個
- ミニトマト 200g
- ペコリーノチーズ(もしくはパルミジャーノ) 30gほど
- ニンニク 2辺
- イタリアンパセリ 少々
- 水 適量
- EVオリーブオイル 適量
- 塩 少々
- 胡椒 少々
作り方
1) ムール貝は足糸(そくし)を口が開く方へ引っ張って取り、金属たわし等で貝殻表面の汚れを落とす。※すでに口が開いている貝や割れている貝はここで取り除いて下さい。
2) 汚れを落としたムール貝はボウル等に入れて水でよく洗う。
3) 貝の口が開く方を指でずらすようにして押し、隙間にナイフを差し込む。ナイフを貝にそってぐるりと回りてムール貝を開く。
4) 貝を開いて身を片方に寄せ、身のついていない貝殻を切り離す。貝を開く時に出る汁は捨てずにボウル等に取っておいてください。後で使います。
5) イタリアンパセリとニンニクは合わせてみじん切りに、ジャガイモは皮をむいて5㎜ほどのスライスに、玉ねぎは薄くスライス、ミニトマトは半分にカットする。お米はさっと水で洗っておく。
6) オリーブオイルを塗った耐熱皿に最初はジャガイモ、玉ねぎ、ムール貝、お米、トマト、ペコリーノチーズ、イタリアンパセリとニンニクのみじん切り、と層になるようにして詰めていく。最後はジャガイモとトマトになるようにする。
7) ムール貝を開いたときに出た汁を茶こし等で濾して加える。
8) 軽く塩を溶かした水を具材が¾ほどの浸かるまで入れる。
9) 仕上げに上からイタリアンパセリとニンニクのみじん切り、ペコリーノチーズのすりおろしを散らす。180℃のオーブンで50分ほど焼いたら出来上がり!
ティエッラ こぼれ話
このティエッラについて書くきっかけになったプーリア州の旅。インスタグラムでは実際にプーリアで食べたティエッラやプーリアの景色などを載せています。
このオストゥーニという街で食べたティエッラがきっかけでこのレシピは生まれました。一面真っ白の、ギリシャを感じさせる街でした。
ティエッラ以外にも、旅で実際に食べたプーリアグルメを載せています。美味しいプーリア、召し上がれ!!!