ミラノは私達一家が暮らす街なので ”旅行記” というのは少しおかしい表現かもしれない。
でも自分の住む街を旅人になった気分で歩いてみるというのは結構いいものだ。
今回は12月、クリスマス前で賑わいを見せるミラノの街の伝統、ミラネーゼが楽しみにしているこの時期のイベント、そして話題のニュースポットについて少し書いてみたいと思う。
12月7日・聖アンブロージョの日にミラノは輝く
12月7日はミラノの守護聖人、聖アンブロージョの日でミラノは祝日となる。
“ミラノは”というのは日本人の感覚からすると少し馴染みがないけれど、ローマやフィレンツェなどの他の都市は平日でミラノのみ休日となるということ。イタリアでは各街ごとに守護聖人がおり、その聖人の日が祝日となるのだ。
そしてミラノの街はこの聖アンブロージョの日を境に一気にクリスマスムード一色に染まっていく。
スカラ座のシーズン開幕
この12月7日というのはミラノのみならずイタリアにとってもとても重要な日。というのも、かのマリア・カラスが数々の名演を残したオペラの殿堂、スカラ座は毎年この日にシーズンがスタートする。この日のスカラ座は世界中からVIPが集まり、何とも華やかだ。そしてその様子はイタリア全土でテレビ放映されるので一般の人々もその豪華な世界を楽しめる。私はミラノに暮らし始めて間もないころにこのオープニングの当日券を買おうとスカラ座のチケットオフィスに行き、売り場のおじさんに笑われたのを今でもよく覚えている。当然そんな簡単に手に入るチケットではないのに、あの頃は並べば当日券なら買えるだろうと思っていたのだ。そんな無知さも今となっては懐かしい思い出。
ガレリアのイルミネーションとドゥオモ広場のクリスマスツリー
ミラノを訪れる人でここに来ない人はまずいないであろう2大スポット、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガレリアと大聖堂ドゥオモ。毎年ここに設置されるイルミネーションとクリスマスツリーは多くの人々を魅了する。
ドゥオモ広場のクリスマスツリーはこれを見ると「あぁ、今年もクリスマスがやってきた。」と感じるこの時期のミラノのシンボル的存在。毎年ミラネーゼはこのツリーのデザインについてあーだ、こーだと言うのがお決まりとなっている。今年2017年は過去最高の高さ(30m!)で10万個ものLEDが使われているそうだ。
一方ガレリアの中央に置かれるツリーは毎年スワロフスキーのクリスタルの装飾が施され、それはそれは美しい輝きを放つ。そしてそのツリーのある場所から天井を見上げるとブルーに光り輝くガレリアのドームが見える。ここでは地元の人も観光客もみんな足を止めて写真を撮っている。もう何度も見ている光景だけれどやはりこのイルミネーションをみると毎回その美しさにため息をつき、クリスマスを待ちわびる人々のワクワク感と幸せな雰囲気に包まれる私のお気に入りの場所。
ミラネーゼが楽しみにする冬のイベント ― アルティジャーノ・イン・フィエラ
一般的な観光客には知られていないけどミラネーゼならだれでも知ってる12月のイベントというのがある。
ミラノの郊外のロー(Rho)市にある展示会場で開催される、アルティジャーノ・イン・フィエラ(artigiano in fiera)だ。毎年11月末から12月の頭にかけて開催されるイベントで世界中の食や工芸品が集まる。その会場は巨大で32万平米の広さに今年2017年は100か国、3250もの出店者が集まる。私達も毎年このイベントを楽しみにしていて、ここでいろんな国の食を味わったりかわいい工芸品を見つけたりしている。ヒマラヤのお茶やフランスの高級コニャック、そしてマダガスカルのとってもかわいい子供服などなど今年もいろいろと見つけれた(家に帰って子供服を試すとサイズが小さかったというオチはあったけれど)。
全部見て回ったら一日ではとても足りないけれど、もしミラノ滞在中に日程に余裕があるならこのアルティジャーノで世界一周をしてみるのもお勧めだ。
アクセス・会場への行き方
地下鉄赤線M1でRho-Fiera(ロー・フィエラ)方面行き終点Rho-Fiera駅下車すぐ。ミラノ市内からの往復チケットは5ユーロ(2017年時点)
変化するミラノ― CITY LIFE SHOPPING DISTRICT
ここ数年ミラノは再開発が進んでいる。特に以前、展示会場があった地区はその跡地に高層ビルが建ちおしゃれなエリアへと様変わりした。先日オープンしたばかりのこのシティ・ライフというショッピングモールに家族で遊びに行ってみた。
中に入るとオープンしたての週末ということもあり、なかなかの賑わいを見せている。このシティ・ライフ・ショッピング・ディストリクトは2階建ての造りとなっており、上がフードコートと映画館で下がアパレル系のお店が並ぶ複合商業施設。その他にもインテリア系のお店が並ぶゾーンもあった。
広さはそれほど大きくないものの今までのミラノにはなかった高層ビルに近代建築と”動くミラノ”を感じるエリアだ。人込みのため半時間ほどですぐに退散してしまったけれどメトロですぐに行けるアクセス良しの場所なのでまた平日にゆっくり訪れたいと思う。
アクセス
地下鉄紫線M5でtre-torri (トレ・トーリ)駅下車すぐ。
最後に
ミラノの観光シーズンは春と夏。秋から冬はグレーの空のどんよりとした天気が続く。私は毎年この季節が嫌いで仕方なかったけれどこうして写真を撮りながら街を歩いてみるとミラノの冬も悪くないなぁと最近思うようになったきた。
何年も暮らしているといろんなことが当たり前になってくるけれどちょっと初心に戻ってこの街をもう一度よく知ってみたいと思った2017年の冬だった。